建物の登記簿には、【表題部】という欄があります。この表題部欄には、登記されている建物の所在や構造や床面積など、その建物が登記された当時(多くは新築時)の状況が記載されています。
しかしながら、登記してから年月が経つ間に、増築して床面積が変更していたり、屋根材を瓦からスレートに葺き替えしたり、建物の用途を事務所として使用していたものを店舗へ変更していたり、建物の状況が、登記した当時から、いろいろと変更していることがあります。
そうすると、同一の建物でありながら、登記簿の表題部に記載している内容と、現在の状況が一致していないことになってしまいます。
変更した現在の建物の状況の通りに、登記簿の表題部を書き換えてあげる登記のことを建物表題変更登記といいます。
この変更の登記手続きはあくまでも所有者様ご自身で法務局へ登記申請していただかなくてはなりません。
しかしながら、登記申請をするには、例えば増築の場合には、建物を測量して図面を作らなければならず、その他にも添付する書類がたくさんあり、なかなかご自身で登記申請するのは骨の折れる作業です。
そこで、所有者様に代理して、この登記申請手続ができるとされている資格者が土地家屋調査士なのです。土地家屋調査士は、所有者様を代理してスムーズに変更の登記手続きを遂行致します。
建物の変更をされた際には、ぜひ土地家屋調査士にご依頼下さい。
建物表題変更登記はしなきゃいけないの?
不動産登記法第51条は、建物の登記事項に変更があった場合は、所有者様は建物表題変更登記を申請しなければならないと定めています。
建物表題変更登記は、申請義務があるとされているのです。
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建物の所有権を適正に公示することができます。
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建物を売買する必要のある時や
担保に入れる必要のある場合、
スムーズに手続できます。
● 所有者様が死亡された時に
相続がスムーズに手続できます。
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適正な固定資産税が賦課されます。
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不適正な固定資産税を賦課されることがあります。(実際の面積や種類と違うなど)
● 登記しないまま所有者様が死亡されると、相続人の協力が必要になるなど
手続が煩雑になります。
● 売買や担保設定がスムーズに行えず、
取引のタイミングが遅延することがあります。
● 未登記の増築部分については、誰の所有権なのかを第三者に主張することができません。
費用はどれくらいかかるの?
費用には
土地家屋調査士報酬と
印紙代等の実費がかかります。
建物の変更部分や書類の有無など条件によって異なりますので、お見積もりをご依頼下さい。
一般的な増築物件の例 (附属の車庫を増築、各種書類の取得が容易)
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土地家屋調査士報酬 |
印紙代等実費 |
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建物増築登記手続 |
85,000 円 |
4,000 円 |
物件により印紙代が増減します |
登記事項証明書取得 |
800 円 |
550 円 |
オンライン申請により印紙代が-150円軽減 |
小計 |
85,800 円 |
4,700 円 |
報酬には別途消費税がかかります |
ご請求額(税込み額) |
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94,640 円 |
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※ 増築の場合など、増築した部分のみを測量するわけではなく、既存部分も確認測量します。
一般的な種類・用途変更物件の例 (事務所として利用していたものを店舗へ変更)
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土地家屋調査士報酬 |
印紙代等実費 |
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種類変更登記手続 |
36,000 円 |
4,000 円 |
物件により印紙代が増減します |
登記事項証明書取得 |
800 円 |
550 円 |
オンライン申請により印紙代が-150円軽減 |
小計 |
36,800 円 |
4,700 円 |
報酬には別途消費税がかかります |
ご請求額(税込み額) |
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43,190 円 |
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こんな場合にご注意!
● 売買などによって所有者が変更した場合
登記簿が【表題部】欄しか存在しない登記簿には、表題部に所有者名が記載されています。
建物の登記当時の所有者が記載されているのですが、売買などによって所有者が変更した場合は、建物表題変更登記によって変更することはできず、所有権保存登記、所有権移転登記を経て、登記名義人を書き換える必要があります。
● "離れ"や部屋の一部を取壊し、床面積が減った場合
増築したので床面積が増えたから、その増築部分についてもきちんと所有権を公示したい。
この場合に、増築登記されることはよくありますが、逆に、離れを取壊した場合や、部屋の一部を取壊した場合なども、床面積の変更登記が必要となります。登記簿の表示と異なる変更は全て、建物変更登記の対象となります。
● 所在や地番が変更した場合
土地の分筆や合筆をすることによって、建物の存在している土地の地番が変更することがあります。
この場合も、建物登記簿の所在欄に記載されている地番と異なってきますので、所在の変更登記が必要となります。